事例紹介 先進の導入事例とモデル事例

箕面市立病院

市立病院と開業医の連携を支える地域医療情報ネットワークシステム

大阪府箕面市は、平成20年度の総務省地域ICT利活用モデル構築事業を活用して、市内の医療機関が参加する地域医療ネットワークを構築しました。地域の中核病院である箕面市立病院と市内の診療所等をネットワークで結び、市立病院内の医療情報を地域の医療機関が共有、活用することで、地域の「かかりつけ医」と市立病院が役割分担しながら効率的で質の高い医療を地域住民に提供しています。

背景

地域医療機関との連携基盤を総務省モデル事業によって実現

1.地域医療機関との連携
箕面市立病院は、(1)急性期医療 (2)地域医療 (3)救急医療の3つを市立病院の役割として掲げています。この3つを達成するために、地域医療機関との連携が急務となっていました。具体的には、
  • (1)地域の開業医は、住民の「かかりつけ医」として初期診療を担う
  • (2)より高度な検査、治療や入院が必要な場合、開業医はその患者を市立病院に紹介する
  • (3)市立病院は急性期医療を担うが、病状が安定した後は必要に応じて開業医に逆紹介し、経過観察を依頼する
という役割分担と有機的な連携が求められていました。
2.電子カルテ情報の共有
このような医療連携をスムーズに行なうには、同一患者の医療情報を市立病院と地域医療機関の間で共有することが望まれています。箕面市立病院では、以前から地域医療機関との間で院内の電子カルテシステムの情報を共有することを検討していましたが、実行のための資金やインターネット上での個人情報のやりとりを禁じる箕面市のセキュリティーポリシーとの兼ね合いがネックとなり、具体化できないでいたのです。
3.地域ICT利活用モデル事業としてプロジェクト開始
箕面市立病院にとって転機となったのは、総務省が行なった平成20年度地域ICT利活用モデル事業の公募でした。これに長年の課題だった「電子カルテ情報を元にした地域医療機関との連携のための地域医療情報ネットワークシステム」を申し込んだところ、見事採用されたのです。国のモデル事業に指定されたことにより、資金的な問題はクリアできました。またこれを機会に、市とは別に病院独自のセキュリティーポリシーを策定することも認められ、具体的なシステム構築に取りかかることができました。

課題と提案

<お客様の課題>セキュアで高信頼の医療情報ネットワークシステム

1.高度なセキュリティー
電子カルテ情報をはじめ今回のネットワークシステムでやり取りされる医療情報は非常にセンシティブな個人情報で、その取り扱いには最大限の注意を払う必要がありました。とくに、外部への情報流出を防ぐための仕組みには万全を期すことが求められていました。
2.容易なアクセス
モデル事業として成功をおさめるためには、地域の開業医の積極的な参加が前提となります。このため今回のネットワークシステムには、開業医にとって手軽に利用しやすいことが求められました。一般的なインターネット環境を通じて、簡単に市立病院内のサーバにアクセスできることが求められていました。
3.止まらないシステム
今回のネットワークシステムは、地域の開業医にとっては、市立病院との連携の基盤となります。万が一、ネットワークがダウンした場合、スムーズな診察ができなくなり、開業医との信頼関係が損なわれるおそれがあります。24時間365日止まらない、堅牢なシステムが求められていました。

<MINDの提案>セキュリティーと信頼性に優れたセキュアネットワークサービス

1.厚労省ガイドラインに適合したセキュリティー
MINDが提案したのは、医療情報向けのオンデマンドVPNサービス「セキュアネットワークサービス」です。IPSec+IKE(Internet Key Exchange)による通信の暗号化(盗聴防止)、電子証明書によるユーザ認証(なりすまし防止)によって、インターネットを経由して個人医療情報を安全にやり取りすることができます。厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(※)」をクリアする高度なセキュリティーが、箕面市立病院から高く評価されました。なお、今回の提案には、開業医の端末からのアクセスにUSBキーを必要とし、プリンタを接続できないようにするなど、医療情報の流出を防ぐさらなる工夫も盛り込まれています。
2.多様なインターネット環境からアクセス可能
「セキュアネットワークサービス」は、光ファイバー通信、ADSL、CATVなど、接続の手段を選ばす、多様なインターネット環境からアクセスできます。開業医のネットワークへの参加を容易にするその特長も評価のポイントとなりました。
3.堅牢なシステム、高信頼の運用サポート
24時間365日の安定運用を前提に、VPNセンター装置の二重化など、万一の故障時もサービスが途切れない高可用性が提案されました。システムの状態は、MINDの統合監視センターが常時監視し、万一異常が発生した場合は、スピーディーに対応します。医療情報ネットワークの豊富な構築経験を背景にしたMINDの高信頼の運用サポート体制が高く評価されました。
4.オンラインレセプト機能も提供
オンラインレセプトに対応した診療報酬の請求システムとしての事例も多い「セキュアネットワークサービス」。今回のシステムでもデフォルトでオンラインレセプトに対応している点が、評価されました。これにより、登録医療機関は、専用のシステムを別途用意することなく、同一のシステムを使って診療報酬の請求業務を行なうことができます。

<お客様の選択>システム構築のパートナーにMINDを選択

2008年9月、箕面市立病院の課題に応える実践的な提案が評価され、MINDが地域医療情報ネットワークシステム構築のパートナーとして選ばれました。

※)「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
ガイドラインでは、インターネット経由での医療情報の送受信に対して、盗聴、セッション乗っ取りなどを防止する対策をとることを必要としています。その中でIPSecとIKEの適用によるセキュアな通信路を確保することが例として示されています。

システム概要

システム概要イメージ

医療連携の基盤として活躍する地域医療情報ネットワークシステム

  • ●2010年10月現在、36の医療機関、400名以上の患者がシステムに登録されています。
  • ●これらの医療機関の医師の方が、光ファイバー、ADSL、CATVなど、さまざまなインターネット環境を通じて、市立病院内のサーバにアクセスします。
  • ●通信においては、暗号化、電子証明書によるユーザ認証等によって、万全なセキュリティーが確保されています。
  • ●利用にあたっては、事前に開業医が患者本人から同意書を取り、その同意書に基づき、市立病院側が患者の診療情報へのアクセスをその開業医だけに許可します。
  • ●実際の使用例
    • 開業医が、市立病院に紹介した自分の患者のデータを病院の担当医と共有する。
    • 開業医が、市立病院における診療、検査について患者の家族に説明する。
    • 開業医が、自分の患者にMRIやCTなどの検査を市立病院で受けさせ、その結果をもとに診断を下す。
  • など。

お客様の声

患者さん、開業医双方に大きなメリット

社団法人箕面市医師会 理事、
医療法人なかクリニック 院長
中 祐次氏

かかりつけの患者さんが入院された場合、PCを見るだけでその場でご家族に説明ができます。これは、患者さんやその家族に取っては大きなメリットです。私たちかかりつけ医のもとには、患者さんやご家族がよく相談に来られますが、このシステムはそういう時のコミュニケーションツールとして非常に役立っていますね。
私たち箕面市医師会は以前から、市立病院とは非常に緊密な関係を築いてきました。だからこそ、今回の地域医療情報ネットワークも、スムーズに展開できたのだと思います。今後も、市立病院との連携を推進していきます。市立病院と地元の医師が、互いに補完し合いながら、地域の医療をしっかりと支えていくことが重要だと考えています。

地域医療の流れを有機的に連携

箕面市立病院 総長
田村信司氏

地域医療の中で、かかりつけ医が果たす役割は非常に重要です。患者さんやその家族に対するきめ細かな対応や在宅医療などは、いま地域のかかりつけ医が担っているのです。この重要性を皆が認識した上で、病院との密接な連携体制を作らなければなりません。
今回の事業の狙いはその連携体制のための情報共有のしくみ作りです。こういう方法で情報共有できることを、まず示さなければいけない。その上で、メリットや課題を抽出していくことが重要だと考えています。
いま、公立病院の存在意義が問われているなかで、打てる手は積極的に打っていこうと思っています。地域医療の全体の流れを有機的に連携させていくことで、患者さんやご家族が感じている医療への不安を解消したいですね。

課題に応えてくれたMIND

箕面市立病院事務局
経営企画課長 三宅浩之氏

今回のシステムを構築するためには、パートナーとしてのネットワーク構築会社の存在が欠かせませんでした。MINDは、セキュアな医療情報ネットワークの構築経験、セキュリティーやシステムの堅牢性に加えて、ネットワーク接続の手段を選ばない点やデフォルトでオンラインレセプトにも対応しているなど、我々や開業医の方々のニーズによく応えてくれたと思います。
現在公開しているのは、検査結果やレントゲン画像、退院サマリなどで、カルテ自体はまだ公開の対象となっていません。今後は、情報共有の意義を現場の医師に浸透させつつ、カルテのオープン化をすすめていこうと考えています。対外的には、開業医の方々の利用促進、登録医療機関の増加などに、力を入れていく予定です。

お客様プロフィール

箕面市
世帯数 55,442世帯(※)
人口 129,608人(※)
市制施行 1956年(昭和31年)12月1日
URL

※)2010年 (平成22年)10月(9月末現在)

箕面市立病院
箕面市立病院イメージ
所在地 〒562-0014 大阪府箕面市萱野5丁目7番1号
設立 1981年(昭和56年)
診療科目 17診療科(内科、精神科、神経内科、小児科、外科、整形外科、形成外科、 脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、 リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科)
病床数 317床
認定等 大阪府がん診療拠点病院
厚生労働省臨床研修病院
日本医療機能評価機構認定病院(Ver.5) ほか
URL
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